「詩学」とは、1947年8月に創刊され、以後2007年9月まで60年間刊行された詩の月刊誌です。
作家・詩人の城左門が「詩学社」を設立し、前身であった詩誌「ゆうとぴあ」(1946.9-1947.5、岩谷書店発行)が資金難でストップしていたのを受けて、「詩学」と改題して創刊しました。
「詩学」の志とは、現代詩というジャンルにとどまらず「広く、文学的綜合誌たらん」という城左門の創刊当時の言葉によく表わされます。また「詩壇の公器」を自負し、詩の作風や会派などにとらわれず、誌面ではさまざまな詩人が詩や評論を展開しました。
編集には発行人の城左門ほか、「荒地」の詩人・木原孝一や、嵯峨信之らがあたり、以後、嵯峨信之、岡田幸文、篠原憲二、寺西幹仁各氏が編集長をつとめます。1953年より「詩学年鑑」を発行。「詩学」は戦後詩の歩みとともに、数々の詩人たちの活躍の場となってきました。
詳しくはアーカイブに譲りますが、たとえば、茨木のり子や川崎洋らが、「詩学」投稿欄よりデビュー。また、黒田三郎や鮎川信夫、田村隆一、吉本隆明、谷川俊太郎、大岡信ら、戦後詩を牽引する名だたる詩人たちが「詩学」に登場しています。
2000年代には、インターネットの興隆とともに盛んになったネット詩に、詩の商業誌としていち早く注目したのが「詩学」でした。と同時に、ヨーロッパ、アフリカ、アジアなど、同時代の他地域における詩の動向をジャーナリスティックに特集しています。
その後、厳しい経営状況が続くなか、2007年9月「詩学」休刊、翌10月に自主廃業となり、惜しまれながらもその60年の歴史に幕を閉じました。