第2回福岡ポエイチ
昨年から福岡で、詩にまつわるフリーマーケット「福岡ポエイチ」がスタートしました。詩人のとうどうせいらさんが、楽しそうな、活気のある雰囲気が伝わってくるイベントレビューを寄せてくださいました。
第2回福岡ポエイチ
2013年6月8日(土)・9日(日)
リノベーションミュージアム冷泉荘 B棟1F 2コ1多目的スペース
主催:福岡ポエイチ実行委員会
後援:福岡市、福岡市文化芸術振興財団
第2回福岡ポエイチにっき。
とうどうせいら
2012年ふゆ;
12月
・第2回福岡ポエイチやってみたいか会議ゆるく開催。at gigi
・福岡ポエイチ今年は2日間開催になった。
2013年;
1月
・第2回公式サイト、ツイッタースタート。
・ゲスト決定。1日目トルタさん(河野聡子さん、山田亮太さん)、2日目ヤリタミサコさん。
2月
・チラシ完成。フクロウ君の目のうるうる度がアップしている。萌え。
(後日配布するたびに「かわいいね、このフクロウ」「かわいいね、このライオン」「かわいいね、ペンギンって和むよね」と言われ「惜しい! でもとにかくかわいいらしい!」って思う)
・チラシ、ポスター配布スタート。スタッフ総出で図書館、学校、飲食店。
2013年;はる
3月
・出展受付スタート。
・初日、東京など各所から速攻で申し込みが集まってくる。かんしゃ。
・が、一定数を超えたあたりから申し込みがだんだん少なくなり間隔が空いてきた。50ブースって……集めるのたいへんなんだなぁ……。
・詩のブース、なかなか集まらない……。「詩よ、来たれ」と巫女のごとく念じるスタッフ。マチビト来たるか。
4月
・今年は大阪へスタッフが出向き、宣伝を試みる。
5月
・西日本、読売と新聞社から取材を受ける。
2013年なつ;
6月
・本番が近付くと限界ぎりぎりのタイリョク。どの人も完全な人なんていない。家庭のことや、仕事のこと、居住区の遠さなど、いろんなものと折り合いをつけながら集まっている。事前準備に来てみたらみんなほどよくボロボロだったり。でもなんかほっとする。
・福岡梅雨入り。心の中にてるてるぼうず。
■ポエイチ一日目
・当日に、なってみないとわからないこといろいろ。当日に適したシフトに変更、一回目。
・開場前集合、ゆる~いノリで、がんばるぞー、おーって一応みんなで言ってみた……。
・今年初の試み、無添加パンのぺったんさん出店。ほやほやかわいいパン。
路上に受付とパン屋がぽつねんと並ぶ。通行人が「あれ?」と見ていく。
「きょうはなんかやってるんですか?」
「本のフリマです。無料ですよ」
「え、いいの?」
パンフレットを受け取って通りすがりの人がふらっと入っていくことがある。パンだけ買っていくお客さんもいる。
・少なかったお客さんが開場2時間後くらいからだんだん増えてくる。福岡、鹿児島、熊本はもとより、神奈川、東京、大阪などからも人がゆるゆる集まってくる。ゲストタイムにはぎっしり。
・今年は高校生の姿をちらほら見かける。
・今年初めて車椅子の出展者さんがいらっしゃった。はるばる大分から二日間通しでの参加。うれしい。会場の冷泉荘はこういう時にバリアフリー対応のトイレがあって、助かった。小さな段差がある。スタッフだけでなく出展者さんがさっと立ち上がりさりげなく押してくださる。打ち上げのお店のかたが一階座敷を用意してくださる。
・ポエイチは2日間開催。ということで打ち上げも2回ある。初日打ち上げ。盛り上がっった。
・本が「1冊売れてしまった……」と、出展者さんがべろんべろんに酔っていた。
ほんの話をしながらどのひとも笑顔で。ほんってすごいなと思う。
*
ただいま
と家のドアを開けたとき、
なんか急に一日いろんな人に「こういうのは困ります」って言われたことや「ありがとう」って言われたことがいっぺんに胸にこみあげてきて、
泣きそうになってしまった。
しかしイベントはもう一日ある。感情がぶれないようにもちこたえる。
*
■ポエイチ二日目
*
睡眠不足でたいへんそうだが各スタッフ、ぞろぞろやってくる。
一番乗りで到着の出展者さんが笑顔で声をかけてくれる。
「おはようございますっ」
今日も一日がんばりましょう。
*
・ポエの神の助けその1→「びーぐる」編集部アシスタントのAさんが売り子として到着。大分より。(ありがとう)
・ポエの神の助けその2→詩人Bさんが福岡ポエトリーブースの売り子として到着。関東より。(ありがとう、ありがとう)
・小雨、ぱらつく。入口を変更。しかしそのことで会場内に新しい流れができた。
・当日の状況を見て2回目のシフト変更。
・家族連れが増えてきた。
・会場内に畳部屋の読書室があり、ちゃぶ台の上に100種以上の寄贈書が並ぶ。寝ている人もいる(快適なソファがある)し、談笑してる人もいる。なんにもしないで座りに来るだけ~というの人もいる。もちろん本を読んでいるひともいるが第一回と比べるとぎゅうぎゅう詰めではなくほんを読むにはちょうどよい感じ。
・第2回よりスタートした、「オープンボトルプロジェクト」。
読書室の本を読んだ後、短冊状の紙に感想を書いて、ボトルに入れる。そのボトルは、海に流し、その中身は作者のもとに届く。投げビン通信のイメージ。(*実際は集計後、メールで送る)
硝子ビンの中に短冊が、一本、また一本と増えてく。ふさふさ。
・初日と同じく怒涛の撤収。いそげいそげいそげ。打ち上げが始まる~
・「もともと寺西さんが始めた詩マーケットから、ポエケットもポエイチも続いているのよねえ」
とヤリタさんがお酒を片手にぽつんと言った。
本が売れた。知らない人と話をした。ディスプレイを見てお客さんがわらってくれた。隣の人となかよくなった。知らなかったジャンルのほんを買ったら興味がわいてきた。
最終日はまったりとお話をして、りらっくすした散会となった。
□ゲストについて
*1日目* TOLTA編
人が多くて様子は見えなかった(ほぼ満員)けど音声を聞いていた。河野聡子さんの声は凛としてふしぎな魅力がある。つい聴いてしまう。そして山田亮太さんの、張り上げるわけでもないのに存在感のある声。唐突に、パン! と本を閉じる音。クール。
そこに加わるサプライズゲスト、渡辺玄英さん。玄英さんの朗読はふんわりしていてきもちがいい。
玄英さんというふんわりしたシャリの上に乗った、トルタのお二人はピリッとすがすがしいわさびみたいだなぁ~。その上にさらに乗っているネタはお客さんなんだろーかポエイチそのものなんだろーか。
*2日目* ヤリタミサコ編
草野心平のかえる語は圧巻である。ヤリタさんが読むとかえるがフランスまで跳んでいく。
ジュテームとかボンソワールとか言わないけど
ハビダジュー? とか シュテンゥェッへ? ポ? とかいうのだ。
日本文の息継ぎすら裏拍からすいっと入ってきたりして。さざ波のちゃぷちゃぷした小刻みな朗読から溢れる海へ。こどもたちが目を皿のようにして見ていた。
そう、ポエイチは寿司バーでありセーヌ河だったのだ……(※わたしなりにがんばってひょうげんしてみました)
【おまけ】
・詩の文化の隆盛のために~とか、福岡の地域振興のために~とか、大義名分のためにムキーっとがんばるということは意味がない。それでは裏方の作業は続けられない……と感じた。自然体がいちばん。
ポエイチには自分たちがまず作っててたのしいからイベントをやろう。という雰囲気がある。
・ポエイチのスタッフにはいっこだけ約束がある。
「どんなに効果があろうと思われることであっても、過度に生活時間やお金を犠牲にしてスタッフ作業にのぞむことはやめてください」
スタッフの生活第一ということ。
イベントをやることが辛くなってしまったら、開催する意味がなくなる。
基本だけど大事なこと。
:その後のポエイチ:
・現在ほんの感想等を含めたアンケートとオープンボトルプロジェクトの集計、出展物リストのデータ起こしをしている。終了後は、集まった感想は、各担当スタッフから著者へ転送される。
地道な作業だけど、感想を読むと
「はやくおしらせしたい」
というきもちにすごくなる。
「書きたい」という人がいるとしたら、「読みたい」「ただおもしろかったと伝えたい」と思う人もいるはずと思っていたけど質量共に予想を上回る勢いがあった。
読み手の人は単なる、受け身な来場者、ではない。書き手を育て、スタッフを力づけ、イベントを支えてくれる、大事な「参加者」のひとたちだ。
スタッフよりも詳しく、一冊一冊の本について知っていて、○○は売っていますか? ウェブで下調べしたのちに売り場に突撃してくる人もいる。
詩は読まれているよ。短歌は新しいお客さんに出会っているよ。
小説の続きを読みたいと思った人がいるよ。辛口の評論にドキドキしている人がいるよ。
あなたの新刊をたのしみにしている人がいるよ。
だから書いたものをみせてください。
感想を書いたお客さんからしてみたら、有名も無名も、関係ない。
おもしろかったか、そうでないか。それしかない。
打ち上げ後スタッフトーク
スタッフ1 いや~2日間って意外にたいへんだったぁ~
スタッフ2 無事、終了したぞぉー!
スタッフ3 ……ところでさー
次のゲストなんだけどね、
もしポエイチが来年もあるとしたら~
できたら○○○○さんを呼びたいなぁ~? なんて思ってて……(えがお
(ええええええええええもう来年の話~~~!!!
まだ胃の中にはモツ鍋が! ビールが! ちゃんぽんがぁぁ!!!)
*** 福岡ポエイチをいっしょに作ってくれる新しい仲間求ム***
福岡ポエイチ http://poeiti.yu-nagi.com/
2012年6月より年一回開催、文芸同人誌即売会。
gigi http://sound.jp/cafe-gigi/
第四日曜に開催されている朗読イベント「福岡ポエトリー」の会場でありスタッフミーティングの会場である中央区薬院のカフェ。
びーぐる http://homepage2.nifty.com/yamadakenji/1beagle.htm
大阪の出版社澪標から発行されている詩の季刊雑誌。
パン屋のぺったん https://twitter.com/Pet_an
冷泉荘 http://www.reizensou.com/
福岡ポエトリー http://fukuokapoetry.konjiki.jp/
とうどうせいら
http://po-m.com/forum/myframe.php?hid=1672
福岡ポエイチスタッフ。2004年「詩学」に出会い廃刊までの3年間投稿。今も雑誌に送り続ける、飽きない投稿欄の化石です。
近作;個人詩誌「エール」、「友人君と春」(詩誌「福岡ポエトリー」)、「寝息」(「びーぐる」16号)